能代市議会一般質問 > 2017年 > 3月定例会

事業承継や法人成り等による入札参加資格継続の条件緩和について

※下記のやりとりは議事録から抜粋したものであり議会の公式記録ではありません。

 事業承継や法人成り等による入札参加資格継続の条件緩和についてお尋ねいたします。
 初めに、中小企業の実態について共有を図りますが、総務省経済センサス基礎調査によれば、中規模企業及び小規模事業者を合わせた総数は平成26年には約381万社となり、全企業数に占める割合は99.7%とのことです。この実数からも、まさに我が国は中小企業に支えられ、経済が循環していると言っても過言ではございません。ただ、昨今ではこの中小企業において、経営者の高齢化により事業承継の難航が非常に大きな社会問題になってきたところであります。
 経営者の高齢化を裏付けるデータとして、東京商工リサーチの調査によりますと、2015年における全国の経営者の平均年齢は60.8歳となっており、このうち秋田県は高知県・岩手県に続く第3位の高い平均年齢であり、62.5歳と社長の高齢化が顕著な地域であることがわかります。さらに、社長が70代である割合は全国で23.3%に達しているともあり、円滑な経営陣の交代や事業承継が行われていないのではないかという課題もうかがい知れます。また興味深いデータとして、増収・増益企業では30代以下の若年社長が多く、減収・減益の企業では60代、70代の経営者が多い傾向にあるようです。
 このような中小企業の実態がある中、当市においても円滑な事業承継は重大な地域課題であり、仮に市内企業において後継者不足を理由とする廃業が増加をたどるものとなれば、雇用環境の悪化のほか地域経済の衰退、さらには産業自体の消滅など、幅広い方面で悪影響を及ぼす可能性が高まることは明白であります。
 一方、当市の入札制度を確認いたしますと、能代市物品等指名競争入札等参加資格の確認に関する要綱では、第6条資格の継承として「営業を実質的に継承した者について、当該資格の継承を認めることができるものとする」条項があり、能代市建設工事入札制度実施要綱では第8条格付の継承として、「等級格付した者の営業を実質的に継承した者について、当該格付の継承を認めることができるものとする」とうたわれております。
 事業承継にはさまざまな手法がございますが、一般的には大きく3通りの手段があり、同族いわゆる親族に承継するもの、親族以外の従業員等に承継するもの、M&Aで承継するもの、つまり合併や事業譲渡により承継を行う方法があります。さきに挙げた2つの要綱では、実質的に継承した者という表現がなされておりますが、この実質的に継承した者には合併や事業譲渡により新たな事業者になった者も対象となっているのか、疑問が残ります。今後は、この地域においてもさきに示した経営者の実態のように、合併や事業譲渡により雇用や産業を守る動きも見られ始める時期にきているのかもしれません。つきましては、地元企業の存続や円滑な事業承継の推進を踏まえ、事業を承継することにより入札参加資格を喪失するなど不利益をこうむることがないよう取り計らいの改善を求め、関連する以下の項目についてお尋ねいたします。
 1、本市の中小企業等における事業承継は、今後どのような推移となる見通しか。
 2、商工会議所など関連団体と、承継に関する実態把握等連携はなされているか。
 3、本市の入札参加資格は事業開始から2年としているが、その意図と根拠は。
 4、事業承継時や法人成りの際、明らかに以前と同一業務と見込まれる場合、入札参加資格は継続されるか。
 5、入札参加資格が継続される条件はあるか。
 6、事業承継により事業主が不利益をこうむることのないよう、条件緩和の考えは。
 以上6点についてお伺いいたします。

 佐藤議員の御質問にお答えいたします。初めに、事業承継や法人成り等による入札資格継続の条件緩和についてのうち、本市の中小企業等における事業承継は今後どのような推移になる見通しかについてでありますが、近年全国的に中小企業等の経営者の高齢化、後継者の不在による事業承継問題が深刻化しており、事業の存続に課題や悩みを抱える企業等が多くなってきている状況になります。この状況は、今後も急速に少子高齢化等が進む本市においても同様であると考えております。
 次に、商工会議所など関連団体と承継に関する実態把握等連携はなされているかについてでありますが、能代商工会議所が平成26年に実施した事業承継に関するアンケート結果では、後継者が決まっていない、自分の代で事業をやめるつもりである等の回答が多くを占めております。これを受け、同所では28年度から専門の職員による事業所訪問を行い、相談体制の強化を図るとともに、後継者に対するセミナーを開催するなどして後継者対策を行っており、市でもこうした取り組みを支援しているところであります。
 また、二ツ井町商工会では28年に実施した実態把握のためのアンケート結果が能代地域とほぼ同様の状況であったことから、経営指導員が重点的に事業承継の相談を受け、対応しております。事業承継の先送りは、結果として地域の産業や雇用における社会的経済的な損失につながるものと認識しており、今後も能代商工会議所及び二ツ井町商工会と連携しながら、効果的な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本市の入札参加資格は事業開始から2年としているが、その意図と根拠は、についてでありますが、市では発注に際し市内業者を優先することとしております。その上で、入札参加資格を得ることを目的とした安易な事業所設置を防止することや、業務の適正な履行を確保するため、営業実績と市税等の納税状況を確認することとしており、市内で2年以上営業していることを条件にしております。
 次に、事業承継時や法人成りの際、明らかに以前と同一業務と見込まれる場合、入札参加資格が継続されるか、についてでありますが、業務の継続だけで入札参加資格の継続を認めているわけではありません。
 次に、入札参加資格が継続される条件はあるかについてでありますが、本市では秋田県の要綱等に準じて業務が継続される場合の資格審査を行っております。個人業または法人から法人への組織変更の場合、個人業の場合にあってはその事業主が、法人の場合にあってはその代表者が継承法人の代表者となること等が要件となります。また、個人事業主の死亡等の場合は個人事業主の相続人、または相続人に準ずると認められる者が継承者になり、個人事業主の相続人等が継続して事業を営むことを当該個人事業主の全ての相続人が同意していること等が要件となります。高齢等の理由により個人事業主が事業の営業を継続することが困難であると認められる場合も、同様であります。
 次に、事業承継により事業主が不利益をこうむることのないよう条件緩和の考えはについてでありますが、市の取り扱いは入札制度における入札業者の履行の信頼性を確保するため、当該業者の営業を実質的に引き継ぐ者の取り扱いを定めた秋田県の要綱等に準じております。条件の緩和については、秋田県や他市の状況も見ながら研究してまいりたいと考えております。

 御答弁いただき、ありがとうございました。順次再質問させていただきます。まずは、大きく1つ目、事業承継や法人成り等による入札資格継続の条件緩和について、主にこの項目のうち6番について再質問させていただきます。
 先ほどの御答弁の中でも御説明がありましたが、私も事業開始から2年以上の営業という部分につきましては、堅実な取り引き相手を選定するという観点からも一定の理解はしております。また、個人事業主から法人になった場合の同一人物が事業を継続される場合であったり、あるいは法人内で同族あるいは親族以外の方による代表者の入れかえについても、当然理解を示しております。
 ただ、今回論点にすべきところといたしましては、先ほどの私からの話の中にあったとおり、例えばですけれども吸収合併や事業譲渡などに伴う新たな法人に対する取り扱いでございます。現行の制度を拝見いたしますと、新たな法人となった場合以前と同一業務を行っていると判断されても、入札参加資格は喪失されまして、再度2年を経過した後登録申請となるようです。当然、全くの新規での立ち上げの場合ですと、やはり先ほどの市長の答弁の中にもありましたが相手の信用問題もありますし、実績もわからない、納税の有無も当然わからないという観点からも、それは2年の縛りを課されるべきものだと思いますが、現状入札参加資格を持った企業、あるいは個人事業主がその事業を譲った場合、新たな法人ではまた意味合いが似ているようで非なるものだと私は感じております。
 先ほど私の説明でもお伝えしましたが、やはり今後は事業承継による雇用の場の減少であったり、あるいは産業自体の喪失、あるいは廃業に伴う関連企業へのさらなる影響、そういったものを鑑みますと、やはり事業を承継することがどの企業にとってもリスクであってはならないと感じております。先ほど、県に準じて入札参加の制度があるというお話も伺いましたが、お隣の大館市のほうでは明確に合併の際の入札参加資格の継続資格であったり、あるいは譲渡の場合であったり、あるいは分割承継会社の場合であったりとさまざまなケースを想定して、こういった場合ですと、入札参加資格が継続されますよ、こういった場合は入札参加資格は継続されませんよと明文化しております。
 やはり私は、今後は全国的にもそのような状況ですけれども、特に能代市においても先ほどの商工会議所や商工会のアンケートの報告のとおり、今後ますます拍車がかかり得るという状況下の中で、入札参加制度は時代に即したような形で緩和していくべきだと思いますが、改めて市長のお考えをお伺いいたします。

 失礼いたしました。今のお話でも、例えばM&Aを考えてみれば、吸収合併といっても、能代の事業者が吸収してそのまま合併して企業として大きくなっていく場合と、逆に能代以外の人たちが入ってきて、能代の業者を吸収合併して法人として成り立った場合では当然違うわけですから、能代の皆さん方が会社を大きくするためにそういう吸収合併なりをやって、そのままの形で能代で営業やる場合にはそれは当然入札資格あるわけであります。
 ですから、恐らく今の話もそうだと思うのですが、ケース・バイ・ケースでいろいろな形が考えられると思うので、今のところ大変正直に申し上げますとそういう形で事業継承でどうしたらいいかというような相談は、ほとんどないですね。ただ、後継者がいないということで、そういう会社を続けていくにはどうしたらいいかという相談はありますから、それは今言ったような範囲でも十二分に機能していると思っています。
 ただ、今後今議員がおっしゃられたようにいろいろなケースが考えられますので、そのときにはぜひとも相談していただいて、我々の判断を仰いでいただきたいと同時に、そういうものが出てきた段階では当然それに適用していく制度でなければいけないわけですから、そのときには見直しをしなければならない場面があるのかもしれません。

 御答弁、ありがとうございます。市長のお話で、ケース・バイ・ケースでその都度それが有用なのかとか、しっかりと検討していきたいというお言葉をいただきましたので、ぜひそういったケースがあった場合には慎重な御審議をお願いしたいと思います。やはり民間企業というのは、従業員の生活を守るために本当に死に物狂いで受注先を探しております。やはり、世間では市のお仕事というのはごくごく一部の割合であって、その法人にとっては微々たるものだという方もいらっしゃいますが、私は決してそうではないと思います。たとえ市の受注であっても、本当に必死になって受注されたいという企業も多いかと思いますので、ぜひ今後はそういったケースがありましたら、御検討のほうよろしくお願いいたします。

 そのとおりだと思いますので、検討していくことは約束申し上げたいと思いますが、例えば今の2例につきましても2つの考え方があります。例えば、今言ったように市内にある業者の方たちが後継者がいなくなったというときにどういう対応をしているかでもって条件がつく場合と、それからもう一つ御理解いただきたいと思うのは、ここのところずっと多くなってきているケースとしては、能代山本全体で考えたときに郡部で仕事が足りない。だから、能代に行って本社機能だとかそういった営業所を出して、それでもって能代の仕事を取ろうという業者の方たちもおられるわけですね。
 ですから一番先に話したように、地元の業者を守っていくという意味で2年という制度も考えています。ですから、いつでも来て、能代に本社でも営業所でも持ったら、すぐ仕事が取れるということになると、地元の市内の業者の皆さん方が大変困ることになるので、またそういうことが多くなってくると、せっかく会社をつくってきて、子供に譲っていきたいと思っても事業がつながっていかない、そういう場面もあります。ですから両方の面から検討した上で、しっかりと対応していきたいと思います。

プロフィール

     

佐藤ともかず【完全無所属】

     

前・能代市議会議員(2014〜2022)。昭和53年(1978年)1月31日 能代市生まれ。44歳。能代市河戸川在住。趣味はNBA観戦(UTAH JAZZ)、読書、温泉、弓道&民謡に興味あり。秋田高専を卒業後、国交省(旧建設省)に勤務。その後IT関連企業を経て大阪より2008年に帰能。地域のIT力向上を目的にweb制作を主軸とした合同会社ゴーゴーウェブマーケットを設立。2016年1月に代表を退き、新たに不登校支援のフリースクール・フレスクを2018年7月に設立。代表を務めたが2019年4月に一般社団法人を設立し代表を退く。現在は家業の通所介護施設「長崎デイハウスふあり」の生活相談員として勤務。視点は常にニュートラル(中道右派)

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