
ご承知の通り生活困窮者自立支援法は、全国的に生活困窮者が増加する中において、困窮者に対し早期支援により自立促進を図り、就労支援や相談受付、住居確保のための給付金を支給するなど各施策を講じるものであります。生活保護制度とあわせ重層的なセーフティネットを確立し、生活保護受給者に加え、受給者以外の困窮者に対しても包括的支援に取り組むものであります。基本的な視点には、対象者の自立と尊厳を保持し、地域社会の一員として孤立を防ぐことに加え、次世代が可能なかぎり公平な条件で人生のスタートを切ることが出来るよう、その条件形成を目指すとし、いわゆる貧困の連鎖を断ち切ろうといったものが含まれます。具体的な支援事業としては、必ず福祉事務所設置自治体が実施しなければならない必須事業と、市の裁量で実施の有無を判断または努力義務にとどまる任意事業に区別されます。必須事業には、対個人に対し自立にむけた支援計画を作成し必要な機関やサービスにつなげる事業として「自立相談支援事業」と、就職活動を支えるため家賃費用を有期で給付する「住居確保給付金支給」の2事業がございます。 任意事業には「就労準備支援事業」「一時生活支援事業」「家計改善支援事業」「子どもの学習・生活支援事業」の4事業のほか「その他の自立促進を図るために必要な事業」がございます。このうち就学準備支援事業とは、ハローワークで実施される一般的な就業相談や雇用施策の枠組みでは対応できないような複合的な課題を抱えている者を対象とし、生活リズムの改善やコミュニケーション能力の向上など社会的能力の習得など一般就労に従事する基礎能力の形成を計画的に支援するものであります。
一時生活支援事業は住居のない対象者に、原則3ヶ月の一定期間に限り、衣食住の供与などを実施するもので、できるかぎり一般就労に結びつけるため、本事業の利用中に他事業と連携することを前提にした事業であります。
家計改善支援事業は、家計の状況を「見える化」し、家計再生にむけた計画の作成、利用者の家計管理意欲を引き出す支援等を実施するものであります。
子どもの学習・生活支援事業は、生活保護受給者世帯や生活困窮世帯の子どもに対し、貧困の連鎖を防止するため、学習支援や居場所づくり、養育相談や学び直しの機会を提供するものであります。この事業は法整備当初は学習支援のみを対象とする事業でありましたが、平成30年の改正により、保護者に対しても、子どもの生活習慣等の改善助言や進路就業相談を行うなど幅広く生活環境への支援が求められることとなりました。 実施主体は福祉事務所設置自治体であり、県からの助言、情報提供その他の援助を受け実施することもあります。任意事業のうち、国からの補助率は就労準備支援事業と一時生活支援事業、家計改善支援事業については2/3、子どもの学習・生活支援事業は1/2となっております。
秋田県内における令和2年10月現在(※)の他市と今年度当市における取組実態では、就労準備支援事業については13市中7市が実施中、一時生活支援事業については全市が未実施。これは主にいわゆるホームレスを対象とすることが多いため該当なしと判断されているかと思われます。続いて家計改善支援事業については13市中9市が実施。子どもの学習・生活支援事業では13市中5市で実施しておりました。つきましては、市が今年度より新たに実施した就労準備支援事業および家計改善支援事業の実施状況と、未実施である、子ども学習・生活支援事業が、どのような理由において実施に至らないのか、加えて今後はどのような取組を考えられているのか当局のお考えをお知らせください。

次に、家計改善支援事業についてでありますが、収入・支出等家計の状況を適切に把握し、家計改善の意欲を高めることを支援するもので、概ねの収入はあるものの、支出の優先順位がつけられずに生活に困窮したり、借金を重ね負債が増えてしまうなど、家計の管理がうまくできない5世帯を対象に、支援員が一緒になって家計簿を作成しながら、自ら家計を見直し、管理できるように支援しております。
次に、子どもの学習・生活支援事業についてでありますが、生活困窮者である子どもや保護者に対し、単なる学習援助のみならず生活習慣改善等の支援も行うものですが、教員OB等の学習支援員のほか、子どもの生活習慣をサポートするボランティアの確保、会場の確保等が大きな課題となっており、実施に至っておりません。
今後も実施自治体の取組みを参考に、研究してまいりたいと考えております。