
能代市におけるワクチン接種状況は先の市長説明でもご報告がありましたが、9月5日現在、高齢者では9割を超える方が1回目の接種を終えており、全体でも7割を超える方が1回目の接種を終えている状況であります。この接種率の高さからも確実にワクチン接種が市民に浸透していることは明白ではあります。しかしながら最新の研究では、ワクチン接種による感染予防の効果が6ヶ月程度で半減するとも言われており、医療関係者が今年2月から接種を開始したことを踏まえましても、定期的な接種の継続や特効薬が開発されない限り、出口の見えない状況に陥っております。このような中、これまで市では新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を受けた事業者に対し各種支援策を講じており、特に直接的な影響をうけた飲食業や観光業に対しても、事業の立て直しの機会を提供し維持継続への支援を実施してきたところであります。ただし、いまだコロナ収束が見えないなかにあっては、これまでと同様の支援では、いずれ財源も枯渇し、他の市民サービスが低下しかねない等、リスクも伴う恐れもございます。つきましては飲食業等支援について次の2点についてご提案申し上げます。
1点目はタクシーによる配達支援事業であります。こちらは既に県内でもいくつかの自治体が取り組んでおり、その効果をあげているものであります。昨年度より試験実施した大館市の例では、飲食店の配達をタクシー事業者が代わってお届けする事業であります。この際、タクシー事業者は「一般貨物自動車運送事業」の許可を取得していることが条件となります。利用者は商品代に加え配達料300円の追加負担で登録飲食店から注文することが出来ます。配達地域は大館市全域で午前11時から午後7時まで利用ができます。公費からはタクシー会社へ配達に要した実稼働時間あたりの契約金額が支払われる仕組みとなっており、R2年6月開始時点では登録飲食店数51店舗、タクシー事業者5社、総実績件数7220件、タクシー運行手数料約1791万円、登録飲食店の売上金額は約2615万円の実績であります。またR3年度の3ヶ月では、タクシー運行手数料約582万円、登録飲食店の売上金額は約950万円と前年度を上回るペースで利用が増加しているとのことであります。事業対象となった飲食店とタクシー事業者へのアンケートでは、事業の継続を求める声が多く、「新規のお客様が増えた」、「遠方からの注文が増えた」等、利用者、飲食店、タクシー事業者と3方良しの結果となったようであります。なお財源は新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用されています。つきましては当市においても同様の配達支援事業を実施する考えはおありであるか、お聞きいたします。
2点目の提案でありますが、ワクチン接種証明の活用であります。ワクチン接種証明は予防接種法に基づく新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種を受けたことを証明するものであり、市で取り扱われるものに関しては手数料がかからず発行できます。
現在、市では海外への渡航用途に限り発行が認められており、その他の用途に使用することは出来ません。ただ、アフターコロナの生活がこれまでと同様に接触を警戒する社会であることが予期されるなか、飲食店従事者や来店者が双方に安心できる仕組みづくりが今こそ必要ではないのでしょうか。そこで、その仕組みを円滑に構築できる手段の1つとして、ワクチン接種証明の提示による活用をご提案いたします。今回は飲食店の営業に限った質問ではありますが、この取組は各種行事やイベント来場などへの普及も検討されるべき課題だと認識しております。つきましては、ワクチン接種証明を飲食店の営業に活用する考えはおありであるか、お伺います。

いてでありますが、新型コロナウイルスの影響により、飲食店のみならず、タクシー運行事業者においても、未だ厳しい経営状態
が続いていると伺っております。こうしたコロナ禍において、人との接触機会を極力減らしながら、飲食店の支援を行う手段とし
て、車両による配達支援事業は有効であり、国土交通省では令和2年9月10日付けで食料及び飲料のタクシーによる運送を貨物
自動車運送事業法に基づき認めることとしております。
同事業は県内で秋田市や大館市等でも行っておりますが、この事業の創設にあたっては、市内の飲食店やタクシー運行事業者の
ニーズの把握が最も重要な要素と考えており、現在のところ、こうした声はあがっておらず、市として取り組むことは考えておりません。
本市では、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して、長期影響継続事業者支援金やタクシー車両維持支援金等を支給しており、飲食店やタクシー運行事業者を含む幅広い市内事業者の事業継続の下支えが出来ているものと考えております。
今後、飲食店やタクシー運行事業者から要望等があった場合には、財源となる交付金等を確認し、検討してまいりたいと考えております。
次に、ワクチン接種証明を飲食店の営業に活用する考えは、についてでありますが、現在、ワクチン接種証明については、海外へ渡航する際、接種証明書、いわゆる「ワクチンパスポート」を所持していることにより、相手国で防疫措置が緩和されるといっ
たことから必要とする方を対象に発行しております。
ワクチン接種記録の活用については、感染拡大を防止しながら、接種者の需要喚起を促すことができ、自粛等によって委縮した経済や各業界の活性化につながると期待されております。また、ワクチン接種を促進する効果もあり、集団免疫の獲得につながることから、政府は、飲食店や旅行、イベント時の入場等の国内での「ワクチンパスポート」等の積極的な活用方法を検討していく考えを示しております。
しかしながら、様々な理由から接種を受けられない方もいることから配慮が必要であり、ワクチンパスポート等を活用する場合については、全国で同一の基準であるガイドラインの作成が必要不可欠であると考えております。
市といたしましては、今後、市民のワクチン接種の状況や、国の動向等を注視するとともに検討してまいります。