
まずは社会的養育についてでありますが、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任において社会的に保護と養育をするものであります。対象は0歳〜18歳未満とされ、平成30年の統計では全国に約4万5千人の要保護児童が確認されています。秋田県内には3つの児童相談所が県により運営されていますが、相談や通告を受け緊急性などを調査し、児童を一時的に保護します。その上で家庭に戻せない等の判断となった場合には、児童養護施設や里親等の下で家庭復帰や自立に向け、保護や養育が行われるとのことであります。全国では要保護児童のうち約57%が児童養護施設に入所し、乳児院については約6%、里親等への委託児童は約16%となっています。
また児童福祉法では、できるかぎり家庭と同様の養育環境を措置することを求めており、施設ではなく、養子縁組や、親権は生みの親のまま養育する里親制度に重点をシフトさせております。しかしながら秋田県においては令和元年度現在、要保護児童数204名のうち、児童養護施設入居者156名、乳児院入居者21名、里親での生活者24名、ファミリーホームでの生活者3名となっており、(平成30年度)における里親委託率では対象69の都道府県市のうち67位の12.2%と国が求める里親等への委託が一向に進んでいない現状が浮き彫りとなっております。
低調の要因として考えられるのが里親制度の認知不足であります。
現行の里親制度には、大きく2種類あり、親権は生みの親のままとする養育里親と、自分の子として戸籍に載せ育てる養子縁組がございます。このうち養育里親には、週末のみ、特定の期間のみ、自立するまでの間を養育する形態があり、各種状況に応じて里親手当や生活費が支給されます。里親になるには県が実施する里親認定研修の課程を修了する必要があり、経済的に困窮していない25歳以上であれば、高齢の方や、未婚の方でも里親になることは可能であります。
なお県では秋田県社会的養育推進計画を令和元年度末に整備し、市町村との役割の棲み分けとして、里親制度普及の推進による社会的養育環境の整備と、要保護児童を増やさないための支援窓口として、子ども家庭総合支援拠点の設置を求めております。子ども家庭総合支援拠点とは、児童福祉法に基づく子ども家庭支援全般に関わる業務を取り扱い、要保護児童等への危険調査や判断、アウトリーチ型のフォローなど多岐にわたる支援業務を行う窓口であり、複数の市町村による共同設置も可能であります。
また国でも、昨今の多様複雑化する児童虐待に対応するため専門家の育成として、子ども家庭福祉の新たな国家資格の創出を検討しはじめております。
これら制度の周知不足の現状や国県の動向を踏まえ、当制度がよりしっかりと地域に根ざすことで、里親登録者が増え、救われる子どもたちも出てくるのはないでしょうか。つきましては、当課題に関連し次の2点について、市長のお考えをお伺います。
1)里親制度の普及に向け、周知や支援等積極的に関わる考えは
2)児童虐待を未然に防ぐために子ども家庭総合支援拠点を早期に設置する考えは

次に、児童虐待を未然に防ぐために子ども家庭総合支援拠点を早期に設置する考えは、についてでありますが、国では、市町村における相談体制を強化するため、子どもとその家庭や妊産婦等を対象として、実情の把握、相談対応や調査、継続的な支援等を行う「市区町村子ども家庭総合支援拠点」について、令和4年度までに全市町村に設置することを目標としております。
本市におきましては、子育て支援課に、妊娠から出産・育児まで切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センター「めんchocoてらす」を設置しているほか、子どもや家庭の様々な相談に応じる家庭相談員を配置し、情報共有、情報交換を密にしながら、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に努めております。
また、児童相談所や警察等の関係機関と連携して、必要な情報の交換や支援内容の協議を行うため、能代市要保護児童対策地域協議会を設置し、要保護児童等への適切な支援を図っているところであります。
支援拠点の設置にあたっては、児童人口規模に応じて職員の配置人員等が定められており、本市の場合には、社会福祉士や保健師、保育士等の資格をもった子ども家庭支援員を常時2名配置することが必要となります。人材の確保や育成等の課題はありますが、子どもに対するより専門的な支援ができるよう早期の設置に向けた検討をしてまいります。