能代市議会一般質問 > 2019年 > 6月定例会

塾や習い事等の学校外教育への助成について

※下記のやりとりは議事録から抜粋したものであり議会の公式記録ではありません。

塾や習い事等の学校外教育への助成についてお尋ねいたします。この項目につきましては、3年前の平成28年6月議会において同様の質問をしておりますが、その後の担当部局における検討協議等、進捗状況も踏まえ、再度お伺いするものであります。
 まずは、学校外教育への助成についてでありますが、塾や習い事、スポーツクラブなどの学校以外での子供教育を指し、学力や学習意欲の向上、スキルアップ、学習機会格差の是正を目的に、その学習費用を助成するものであります。対象は主に小・中学生を想定しておりますが、既に当制度を導入している全国の自治体においては、対象を絞り込み、小学5・6年生のみ、中学生のみ、所得制限を設けるなどばらつきが見受けられるようであります。
 なお、以前の質問当時では得られなかった当制度に対する統計資料も整ってきておりますので、幾つか御紹介いたします。
 まずは、三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティング株式会社が公表している公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが実施した教育クーポンの効果検証でありますが、当クーポンは東日本大震災で被災した小・中・高生のうち、世帯収入が一定基準以下等を対象に、学年に応じて年間15万円から30万円を給付するものであります。主に教育格差の是正を目的としておりますが、調査及び分析の結果として、クーポン受給者の学力が偏差値換算で4.5ポイントの上昇、休日等の学習時間は平均30分の増加、塾に通う割合も21.7%の上昇が見られたとのことであります。
 また、大阪市では塾代助成事業を平成24年度より試行実施し、平成25年度より全区展開しており、対象は所得制限を設けた全中学生とし、月額1万円を上限に助成するものであります。利用率は対象範囲を拡大した平成27年度以降49%、平成28年度58.9%、平成29年度61.1%と年々増加しております。登録事業者につきましては、平成25年度704事業者から平成31年1月時点で2,641事業者と大幅に拡大しております。
 アンケート調査では、回答のあった1,207名のうち、交付前は学習塾等に通っていなかったが、「新たに通塾できた」等の回答は446名に上り、成績については、テスト等の点数や順位から「良くなった」と回答した生徒が66.7%、利用により「学習する機会が増えた」が46.8%、「不得意な学習がわかりやすくなった」が35.9%、「学校の授業がわかりやすくなった」が24.1%となっております。また、経済的な負担軽減については、「こどもの教育に役立つものへの支出を増やすことができた」が63.2%、「生活費への支出を増やすことができた」が17.4%と良好な結果となっているようであります。
 さらに、南房総市では、小学5・6年生を対象に、所得に応じて月額1,000円から7,000円を助成しており、平成27年度助成対象者602名のうち、交付者378名、交付率62.8%、総利用額668万4050円となっており、平成28年度は当初予算1,024万円に対し、交付率84.7%、平成29年度は当初予算1,636万円を計上、交付率89.9%、平成31年度は当初予算1,473万円の計上となっております。事業者は平成27年度開始時の57事業者から平成31年4月時点では104事業者と受け皿の拡大も見受けられます。
 これら客観的な統計資料も踏まえ、同事業実施により、子供たちへの学力や学習意欲の向上はもちろんのこと、子育て世代への負担軽減、市民の満足度向上から移住定住への追い風、さらには対象教室の開業支援など多岐にわたる波及効果が期待できるものであります。いま一度早期導入を求め、次の3点についてお伺いいたします。
 1、地域の差別化政策として子供への教育投資をどう評価するか。
 2、起業支援としての波及効果も期待できないか。
 3、少子化を逆手に早期導入の考えは。

起業支援としての波及効果も期待できないかについてでありますが、現在、本市では多くの塾や習い事の教室が営業しております。こうした学校外教育に助成することが需要を喚起し、塾等の数が不足することになれば、起業につながることは考えられますが、そのためには相当の需要拡大が必要であり、現時点でその判断は困難だと考えております。
 なお、毎週木曜日に開設している起業等相談窓口には、学校外教育に関する起業相談も寄せられておりますので、引き続き支援に努めてまいります。

◎教育長(高橋誠也君) 佐藤議員の塾や習い事等の学校外教育への助成についての御質問にお答えいたします。初めに、地域の差別化政策として子供への教育投資をどう評価するかについてでありますが、御紹介いただいたように、全国的には学校外教育へ助成している地域もありますが、秋田県内においては、そのような助成を行っている市町村はありません。
 本市における家庭の教育投資の状況につきましては、全国学力・学習状況調査、児童生徒質問紙結果の「学習塾に通っていない割合」は、小学校で約80%、中学校で約65%であり、全国平均よりも20ポイント以上高くなっております。全国の中で塾に通っている児童生徒の割合が低い秋田県の状況と、本市もほぼ同様の状況であります。
 そのような中、全国学力・学習状況調査において、本市は全ての教科で県平均を上回っております。加えて、県の学習状況調査の児童生徒質問紙において「学校の勉強がよくわかる」という質問に肯定的回答をした児童生徒の割合も県平均を上回っております。学習塾に通っていない割合が多い現状にあっても、学力や学習意欲等においては非常に良好な状況を保っていると捉えております。
 教育委員会といたしましては、これまで学習指導と生徒指導を両輪とした学校教育の充実のため、学校、家庭、地域の教育力を生かした魅力ある学校づくりに努めてまいりました。このような良好な状況は、学校、家庭、地域が連携して培ってきた豊かな教育環境によるものであり、オール能代市で取り組んできた成果と捉えております。今後も、児童生徒、保護者にとって満足度の高い魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。
 次に、少子化を逆手に早期導入の考えはについてでありますが、教育委員会といたしましては、最初に述べたとおり、教職員の授業力向上研修、各支援員の人員配置、教育機器の整備等、学校教育の充実をもって取り組んでまいりたいと思います。早期導入については今のところ考えておりません。以上でございます。

再質問いたします。こちらは項目3番まで飛びます。先ほど早期導入の考えはないと教育長の御答弁を頂戴しました。こちらの例えば南房総市の条件に沿って当市に当てはめてみますと、年間約2,000万円程度の予算で実施することが可能であります。先ほどの御答弁の中では、塾に通っていない率が小学生80%、中学生65%、そういった環境下にありながら、成績は優秀であるというような結果の答弁であったかと思いますが、こちらを導入することによってさらなる効果が期待できると思いますが、その先、高校生になっても大学に進学しても通用する人材に育て上げるには、こういった取り組みも必要なのではないでしょうか。

◎教育長(高橋誠也君) 佐藤議員の再質問にお答えいたします。佐藤議員の御意見のとおり、私も子供は地域の宝であり、子供への投資は意義のあることだと考えております。ただいまお話がありました南房総市について、こちらのほうでも調べましたところ、もともとは平成27年に過疎対策として始まった事業というふうにお聞きしておりますが、平成29年度には交付者が7割になるというふうな成果もあるというお話を伺いました。ただ、そのために子供たちの成績が向上したとか、人口増につながったというふうな実績は難しいという回答も南房総市からいただいておりました。
 私たちといたしましては、繰り返しになりますけれども、教職員の授業力向上研修とか、支援員の人員配置、それから必要な教育機器の購入等、その教育投資をもって子供たちの学校、教育の充実を図っていきたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。

教育長、その教育長のお考えは十二分にわかるのですが、今回俎上に上げているのが学校内教育ではなくて、学校外教育であります。成績だけではない人材育成がここにはあると思いますが、その点については教育長はどのようにお考えでしょうか。

◎教育長(高橋誠也君) 学校外教育において、スポーツ関係でありましても、文化的関係にありましても、子供たちの体力面、また情操教育において非常に効果が大きいというふうには考えておりますが、そこへの助成については、前回の議員の御質問の後、部内でも検討いたしましたが、助成金の試算ですとか、学校教育環境の整備のほうに力点を置きたいというふうな観点から、教育委員会としては、その効果を認めるわけではありますが、今のところ助成についてはまず考えていないということでございます。

それであれば、家庭の事情で勉強する機会が少ない、教育格差の問題についてはどのようにお考えでしょうか。

◎教育長(高橋誠也君) 家庭の事情といいますか、経済的な事情についてのお話だと思いますが、このことにつきましては、能代市の就学援助率におきまして、平成30年度の就学援助率が、全国平均が13%、県の平均が12%でありますが、能代市では23%の就学援助を行っております。それぞれ所得等をもとにして申請に基づいて行っているわけですが、丁寧に、子供たちが手を挙げやすいように、家庭が手を挙げやすいような形で、全児童生徒に申請書をお配りして、申請しやすいというふうな環境を整えて対応しているというところでございます。以上でございます。

私自身は、今回の質問の内容にもございましたが、子供たちの学力、学習意欲の向上のみならず、子育て世代の負担軽減、あるいは起業支援など多岐にわたる効果が、金額の多い少ないではございませんが、比較的少ない費用で効果を望めるものとして提案させていただきました。引き続き私自身もさらに研究を進めて、後ほど再度質問させていただきたいと思っております。

プロフィール

     

佐藤ともかず【完全無所属】

     

前・能代市議会議員(2014〜2022)。昭和53年(1978年)1月31日 能代市生まれ。44歳。能代市河戸川在住。趣味はNBA観戦(UTAH JAZZ)、読書、温泉、弓道&民謡に興味あり。秋田高専を卒業後、国交省(旧建設省)に勤務。その後IT関連企業を経て大阪より2008年に帰能。地域のIT力向上を目的にweb制作を主軸とした合同会社ゴーゴーウェブマーケットを設立。2016年1月に代表を退き、新たに不登校支援のフリースクール・フレスクを2018年7月に設立。代表を務めたが2019年4月に一般社団法人を設立し代表を退く。現在は家業の通所介護施設「長崎デイハウスふあり」の生活相談員として勤務。視点は常にニュートラル(中道右派)

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