能代市議会一般質問 > 2014年 > 9月定例会

子供向け防災教育の取り組み状況について

※下記のやりとりは議事録から抜粋したものであり議会の公式記録ではありません。

子供向け防災教育の取り組み状況についてお伺いいたします。皆様方も既に報道や実体験から御存じのとおり、昨今の天候がいかに人知を超えたものになっているかは、それぞれが感じられていると思います。そのような中、先月8月20日深夜から早朝にかけ、広島市北部において甚大な大規模土砂災害が発生いたしました。続く9月5日に発表された広島県の調査結果によりますと広島市内107カ所での土石流、59カ所において崖崩れが発生していたとの報告でございました。私自身も国土交通省時代、砂防に携わっていたこともあるだけにその被害の甚大さが肌感覚で伝わっております。また、付近では1時間当たりの最大降水量が100ミリを超えるなど想像を絶する状況下だったことも伺えます。そして、一部報道においては避難勧告のおくれなどを強く非難する意見もございます。確かに予測しにくい大雨であったことは理解できるものの、気象台や広島県が事前に大雨警報や土砂災害警戒情報を発表しているだけに非常に悔やまれる結果でなりません。市長はこのような広島での大規模土砂災害から何を学び、そして生かそうとなさっているのか、お考えをお伺いいたします。
 また、今後は先月の広島における土砂災害同様に避難勧告や避難指示が追いつかないほどの短期集中型のゲリラ豪雨やそのほか過去最大級の災害に見舞われる可能性が非常に高いと思われます。市民自身が避難の指示を待つばかりではなく、自分の命を自身で守れることが当たり前の習慣や風土になるべきと考えております。さきの3.11の大震災では釜石市の小・中学生が主体的に避難を行い、高い生存率となった結果を受け、本市においてもまずは子供たちから釜石市同等の防災教育を導入していくべきではないのでしょうか。
 それに関連しまして、次の事項についてお伺いいたします。
 まずは、1つ目、本市における危険箇所数とその周知状況をお尋ねいたします。
 2つ目、小・中学校での防災教育の実施状況をお伺いいたします。
 3つ目、本市においても釜石の事例に学び、本格的な防災教育の早期導入の考えはあるのかお示しくださいませ。

佐藤議員の御質問にお答えいたします。初めに、子供向け防災教育の取り組みについてのうち、広島で発生した大規模土砂災害から学ぶべき点についてでありますが、最近の傾向として、これまで経験したことのない大雨が局所的かつ短時間に集中して降り、河川の氾濫や土砂災害を引き起こすケースが非常に多くなっております。
 今回の広島市の土砂災害は、加えて同時多発的に、しかも災害対応が非常に難しい深夜の時間帯に発生しております。このようなケースにおいては、いつ、どこで、どのような被害が発生しているのか、全体の把握が難しいこと、避難情報発令の判断やタイミングが難しいこと、迅速な避難所の開設が求められること、大雨の暗い中での避難行動は危険が伴うこと、避難情報が住民に伝わりにくいこと、同時に大量の救助要請が寄せられることなど、多くの困難な課題があると受けとめております。
 このような非常に対応が困難な最悪の災害が、当市にも起こり得るということを想定しておくことが重要な教訓であると捉えております。また、特に避難情報は決して空振りや批判を恐れてはならないこと、住民がみずからの判断で行動を起こせるような意識喚起がより重要であることを強く認識したところであり、今後の防災対策に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、本市における危険箇所等及び周知状況についてでありますが、平成25年度末現在、能代市内には危険箇所が317カ所あります。これらの危険箇所については土砂災害防止法に基づき都道府県が基礎調査を行い、民家等に被害を及ぼすおそれがある区域を警戒区域として指定することとされております。現在、当市では二ツ井地域の49区域が警戒区域に指定されておりますが、能代地域については基礎調査が行われていないため警戒区域の指定はされておりません。
 危険箇所の周知についてでありますが、県では平成20年度に二ツ井地区の警戒区域についてのハザードマップを対象地域に配布しており、市では21年度に危険箇所のハザードマップを市内全戸へ配布しております。さらに、昨年10月から11月には危険箇所の自治会長、町内会長等を対象に説明会を3回開催し、周知や前兆現象、避難の心構えなどについて説明を行うとともに、ホームページにも掲載しております。

佐藤議員の御質問にお答えいたします。初めに、子供向け防災教育の取り組みについてのうち、小・中学校での防災教育の実施状況はについてでありますが、市内の全ての小・中学校において、自治会や保護者等も含めた地域防災委員会を設置し、5月の県民防災意識高揚強調週間の期間中、地震、津波を想定した避難訓練を地域住民とともに実施し、その際備蓄品の保管場所や発電機の作動、投光器の点灯の確認等を行っております。各校では教育委員会が作成した能代市防災リーフレットを活用し、保護者の防災意識も高まるよう工夫しております。また、防災教育の年間指導計画及び防災マニュアルを策定し計画的に指導を行っております。
 次に、釜石の事例に学ぶ防災教育の早期導入の考えはについてでありますが、平成24年8月、教育委員会担当者と防災教育モデル校の渟城西小学校、能代第一中学校の教員合わせて5名が、釜石市の教育委員会や小学校を視察し、防災教育先進地の取り組みを学んできました。その後、本市においても子供たちがみずからの命を守ることができる実践的な防災教育が必要と考え、学校や自宅、登下校中などさまざまな場面を想定した避難訓練の実施等、釜石市の取り組みを参考にしながら実施しております。さらに、能代第一中学校では、秋田地方気象台と連携した防災教育の授業づくりを行っております。また、渟城西小学校では、今後児童による防災マップの作成を予定しております。このような実践を他校にも波及し、一層防災教育の充実を図っていきたいと考えております。
 教育委員会といたしましては、災害時にはみずから判断し、みずから行動できる子供たちを育てるとともに、子供たちの姿を通して、保護者、地域の方々も防災に対する心構えの大切さを理解していただけるよう、今後も防災教育の取り組みを推し進めてまいります。

御答弁ありがとうございます。順番に再質問させていただきたいと思います。まずは、1番の1、子供向け防災教育の取り組みについて、このたび広島で発生した大規模土砂災害から学ぶべき点はということで、あのような災害が能代市でも起こるかもしれないということで、万全を期すというようなお答えだったのですけれども、私はその前に、まずそもそも起こらないように、人命にかかわらないような状況をつくり出すことこそが行政の役割の一つだと捉えております。具体的にお伝えしますと、例えば、まずは危険箇所に住まわせないこと、あるいは危険箇所に既に住んでいる場合には予防策を周知徹底すること、あるいは先ほど県のほうで回り切れていない危険箇所が相当あるということでしたので、そちらも人命にかかわることですので、県と協働ですぐにでも認定作業を進められるべきではないかと思いますが、そのあたり当局はどのようにお考えでしょうか。

佐藤議員の再質問にお答えいたします。確かに、今おっしゃるようなことが実現できれば、かなり減災につながると思います。ただ、そこに住まわせないといったときに、やはり自分の私有地に家を建てることに対する制限は特別なことがない限りまずできません。それから、今住んでいる中でもって予防策を講じるということ、これは恐らく啓蒙活動の中でできることでありますので、最大限努力していきたいと思います。
 それから、県の特別警戒区域の話だろうと思うのですが、その注意しなければいけない箇所のうち、なぜ今県が特別警戒区域に指定ができないでいるのかといいますと、実は今指定されているのは17%です。それはなぜかといいますと非常に危険度の高い順番に調査をしながら基礎調査をして指定をしていくというやり方をしておりますから、ある意味では我々としては大変不満もありますけれども、海岸部にあって大きな山がないようなところは、以外と危険度が低いという判断にもなってきます。多分、実際に災害を見たときに、例えば天内ですとか、それから常盤ですとか、実際に雨が降って小さな土砂災害であっても起こっている所はありますので、ぜひともその辺での危険度については、我々が県に対してもう少しアピールしていかなければいけないと思います。そういう現状にあることもぜひとも御理解いただきたいと思います。
 いずれにしましても、人命にかかわる問題でございますので、まず第一に我々が今やれることをしっかりやると同時に、そこに住む皆さん方に先ほども申し上げましたが自意識を持っていただきまして、自覚を持っていただいて、万が一のときには危険が来るぞということを理解していただく、そういう啓蒙活動もあわせてやっていかなければならないと思います。議員御指摘のとおり県のほうには少しでも早くそういう特別警戒区域の指定の調査が進むように御要望させていただきたいと思います。

ありがとうございました。市長もおっしゃったとおり、この指定というのが、まず警戒区域や特別区域、その指定方法なのですけれども、基礎調査で谷の地形や形状を確認した上で、国の定める計算式に当てはめ、危険度を判断して定める、そういった要綱になっております。私非常に気になっておりますのが、その指定前の危険箇所であったり、あるいはその危険箇所と認められなかった場所について非常に危機感を覚えております。8月の広島での災害は御存じのとおり、実は当時のマニュアル不備ということで、基礎調査、着手はなさったのですけれども、その警戒区域として指定が見送られた場所でのあの災害でした。ですので、私はその危険箇所、いわゆるその警戒区域でなくても、おそれがある場所に関しましては徹底的な周知、あるいは説明会の実施を促すべきと思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。

おっしゃるとおりでございまして、例えばこの基礎調査を行うに当たって何を重視するかというと、過去の歴史の中でそういう災害が起こった場所、いわゆるそういうことが、たびたび起こっている所ではその重要度合いが高くて、そして今まで起こっていないような所はちょっと見逃されてしまうという傾向にあります。しかし、今考えなければいけないのは議員の御指摘にありましたけれども、今の災害というものは、今まででは考えられないぐらいの、いわゆる定点的に集中豪雨があるということですから、過去にそういう例があるなしではなくして、そういう災害が起こったときに、この場所は安全なのかどうかというその判断そのものを少し考えていかなければいけない時期に来ているのだろうと思います。
 ですから、我々末端行政を預かる者として、そういう所のパトロールを重点的にやると同時に見逃している所については、ぜひともそういう視点で調査を検討していただけないかという要望をしていかなければいけないものだと思っております。これは、その調査を主体的に行う県だけの問題ではなくして、市民の安全・安心を担う我々市行政に携わる者として、その辺のところをもっと理解を深めていただけるような、そういう要望というものをしっかりしていかなければいけないと考えております。今後、今御指摘のありましたことも含めて検討させていただきたいと思います。

ありがとうございました。続いて、次の質問に移りたいと思います。今度は1の2、市における危険箇所数及び周知状況はというところでございますが、先ほどの御答弁の中にもありました317カ所、これはいわゆる指定が終わった警戒区域の数でしょうか。教えてください。

警戒区域として指定されている所ではありません。危険箇所としての数が317カ所あるということであります。

ありがとうございます。それでは、その警戒区域にも指定されていない、これから指定する分も含め、県が回る分も含めた箇所数というのは把握なさっていらっしゃるでしょうか。

能代、二ツ井両方合わせて危険箇所としては今言った317カ所、先ほど申し上げたとおり、その中で警戒区域が49カ所です。317カ所のうち土石流の危険箇所が111カ所、地すべりの危険箇所が8カ所、それから急傾斜地崩壊危険区域が198カ所であります。さらに、警戒区域を分けますと土石流が18カ所、地すべりはありません。傾斜地が31カ所で両方足すと49カ所という数字になります。

ありがとうございました。済みません、私のほうでちょっと聞き間違ったようでして、数量の把握ができました。ありがとうございます。
 今後もその周辺に住む住民に積極的な自主避難の方法であったり、あるいはどういった状況が続くとどんな災害が起こりやすいのか、その辺の周知徹底をよろしくお願いいたします。
 続きまして、1の3、小・中学校での防災教育の実施状況について再質問させていただきます。先ほど行っているということで、さまざまな実施状況を御報告いただきましたが、実際その手応えとしてはいかがでしょうか。

佐藤議員の再質問にお答えします。今やっている防災教育あるいは避難訓練の手応えについてでありますけれども、3.11の地震、津波が起こった後に、緊急に対応しなければならない重要な事項であるということで職員を釜石市に派遣しました。釜石のすばらしさは中学生が避難することによって、その姿から小学生、そして幼稚園、保育園の子供が動き、それを見ながら大人も避難していくというところにすごく学ぶべき点があると思って、その点を主として行っているわけですけれども、徐々に私は効果があらわれているのではないかと思っております。そして、これもまた実効性のある、効果のあるものにしていかなければならないと考えております。

ありがとうございます。私がこれほどまでになぜ防災教育にこだわるかといいますと、やはり能代で育った子供たちが全国各地に飛び立つときに、どんな災害に見舞われるか想像もできない状況にあるわけですが、とにもかくにも命を救ってほしい、その思いでいっぱいです。
 私、今回の質問に際して非常に参考にした本がございます。これは、人が死なない防災という片田敏孝先生の本なのですけれども、非常に勉強になりますので、ぜひ当局の皆様御一読いただければと思います。この中で語られるすごく参考になるデータがあるのです。どういったデータかと申しますと震災後にアンケートをとられたそうです。それはどういったアンケートかといいますと、どのような状況なら逃げたかという設問だったのです。その設問の選択肢には、例えばラジオやテレビで津波警報を知ったとか、そういった選択肢がある中で注目していただきたいのが、近所の人たちが避難しているのを見て自分も逃げた、これは何と驚くべき数字で64%、なるほどと痛感したのです。というのも、我々はある程度人生経験がありますと、例えばこの程度の揺れだったら大丈夫だとか、この程度の雨だったら大丈夫だとか、勝手な判断をしてしまうことが多々あると思うのです。そういった経験則が変に働いてしまわない、それこそ子供たちは非常に純粋ですので、ぜひその純粋なうちにそういった逃げる人を育てる教育、それを徹底して行っていただきたいと思います。

大変申しわけございません、質問になっておりませんでしたけれども、一つだけお話しさせていただきたいのは、先ほどの釜石の例でお話がありましたけれども、実は先ほど教育長のほうで話ししておりませんけれども、そういう近所の皆さん方が逃げる、いわゆる自発的な行動が必要だという御指摘をいただいたと思うのですが、この小学校教育をなぜ始めたかというと、3.11が終わった後すぐ、うちの教育委員会は小・中学校の子供たちに防災教育を始めました。これはなぜかといいますとあの事例を見たときに、今議員が御指摘するように将来ある子供たちの命を救いたいということもあるのですけれども、子供がそういう訓練をすれば必ず自宅に帰って親御さんに話をする。家庭のテーブルの上でそれが話題になれば、ではうちはどうやったら逃げるだろうかということが話題になって家族全体で取り組み、地域で取り組むきっかけになるのではないかということで、そういう小学生、中学生の防災教育をいち早く始めたということも、ぜひとも御理解いただければありがたいと思います。

プロフィール

     

佐藤ともかず【完全無所属】

     

前・能代市議会議員(2014〜2022)。昭和53年(1978年)1月31日 能代市生まれ。44歳。能代市河戸川在住。趣味はNBA観戦(UTAH JAZZ)、読書、温泉、弓道&民謡に興味あり。秋田高専を卒業後、国交省(旧建設省)に勤務。その後IT関連企業を経て大阪より2008年に帰能。地域のIT力向上を目的にweb制作を主軸とした合同会社ゴーゴーウェブマーケットを設立。2016年1月に代表を退き、新たに不登校支援のフリースクール・フレスクを2018年7月に設立。代表を務めたが2019年4月に一般社団法人を設立し代表を退く。現在は家業の通所介護施設「長崎デイハウスふあり」の生活相談員として勤務。視点は常にニュートラル(中道右派)

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